H27.第10.11.12講
第10講 テーマ 「図書館を核としたまちづくり~まちじゅう図書館の展開」
2015年12月3日(木)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング 大会議室(12階)
「図書館を核としたまちづくり~まちじゅう図書館の展開」
NPO法人オブセリズムCEO、演出家 花井 裕一郎 氏
図書館運営は、まちを元気にするわくわく演出プロジェクトと捉えています。そのような空間を創るためには、既成概念を取っ払い、子育ての場、学びの場、交流の場、情報発信の場となることが大切です。この活動の基礎として、民間主役の図書館建設を行うために、図書館建設運営員会18回、幹事会13回、運営部会6回、電算化部会10回を行いました。
また、予算の関係上に引っ越しボランティアとして近隣小学校の生徒が手伝ってくれたことにが、図書館や本自体に愛着を持ってくれるきっかけともなりました。館内は飲食、おしゃべり、スキップ、年末年始の開館、BGMを許可しました。その他にも、子供達を対象に、聞く力養成講座を行ったところ、交流の場として互いの悩みなどを共有できる場となりました。その結果として、平成19年度から平成27年度にかけて、利用者が約7倍になりました。他にも中学生が図書館運営に関わる福智町図書館についても運営をお手伝いしています。
「まちじゅう図書館 伊那図書館の挑戦」
長野県伊那市立図書館長 酒井 淳一 氏
伊那図書館では、地域の図書館が「知る」行為の起点として、情報と人、人と人とがつながる場所となるように地域の人々と共に図書館運営を行っています。図書館という「ハコ」や仕組みにとらわれない新鮮な取り組み、新しい公共空間を創ろうという活動が、地域資源の再生につながると考えています。その中でも特徴的な取り組みである、まちじゅう図書館は、平成22年にはじまりました。この取り組みは地域の図書館が地域の方々の持つ本を活用して、まちあるきイベントなどを通じて本と人、人と人を結びつける場所となることを目指したものです。本のリサイクルや、参加加盟店が地域通貨を活用したまちあるきなど、体験型・参加型のプログラムの提案や実践に重点を置いています。
これは、様々な地域課題を図書館業際課題であると捉え、住民に活動する場所を提供してくことが、行政が行うべき支援サービスの一つであると考えています。
第11講 テーマ 「地域包括ケアにおける家族介護者の位置づけと支援」
2016年1月25日(月)13:30~16:30 昭和ビル9階
「地域包括ケアにおける家族介護者の位置づけと支援」
高齢社会をよくする女性の会・広島代表 春日 キスヨ 氏
介護とは、介護者と要介護者間の相互作用であり、①ケア・ニーズの認知、②ケア・ニーズ充足の方策決定、③ケア・ニーズの直接的充足、④ケアを受けること、の4フェーズからなります。
近年、介護を担う家族において大きな状況の変化が見られます。別居介護の場合は、女性の加重負担、一方同居介護の場合は、夫や息子による介護の増大などです。特に老老介護や、増加するシングル子世代の仕事と介護の両立問題のほか、介護家族において介護に専念可能な家族の不在という深刻な課題が顕在化しています。これは、国が描く家族介護像とのかい離です。家族介護に困難を持つ家族の増大は、要介護者のみならず介護者にも支援が求められています。つまり、支援の受け手側に求められる一定の能力や地域特性を踏まえた対応は、高齢化などをはじめとする支援提供側が抱える課題です。これらを克服した地域包括ケア体制の構築が急務です。
「家族介護者支援の実際」
NPO法人てとりん 代表理事 岩月 万季代 氏
ケアラーズ・カフェで家族介護者をサポートする活動を行っています。活動で大切なことは、アセスメント・シートを活用して、一人ひとり異なる介護者の置かれた状況を正しく見立てることをしっかりと行い、介護者の悩みや不安を解消し、前向きに取り組むきっかけを作ることです。在宅で介護を行っている人は、「家族だから自分で介護したい」という責任感が大きな負担となるケースが多くあります。カフェを中心とする活動を通して、介護者の心身の健康・経済・生活が続けられるよう、人々のつながりを作り、適切な助言、支援を通し、地域社会で人々が支え合える街づくりを実現したいと思います。
「家族介護者の対話の場 オレンジカフェみずほ」
名古屋市瑞穂区西部いきいき支援センター センター長 岡野 智彦 氏
名古屋市瑞穂区西部いきいき支援センター 主任介護支援専門員 居相 富美子 氏
瑞穂区社協地域福祉活動計画、同地域包括ケア推進計画に基づき、社会的孤立から新たなつながりを創る場として、①孤立死防止、②家族介護者支援、③認知症ケア体制、④担い手発掘・育成、⑤階層別地域ケア会議などのサポート体制を進めています。
オレンジカフェみずほは、家族介護者が参加しやすい時間帯に配慮し、多様な場所(施設・喫茶店等)で開催する、参加者同士の仲間づくり、相談し合える関係づくりを目的とした場です。施設と一緒になって運営する協力体制を意識して実施しているほか、地域との連携では喫茶店を会場にして気軽に参加できる場や仕組みづくりを作る活動を進めています。
第12講 テーマ 「世界にはばたく地域ブランド『めがねのまちさばえ』」
2016年3月23日(水)14:00~16:00 昭和ビル ホール(9階)
「世界にはばたく地域ブランド『めがねのまちさばえ』」
福井県鯖江市長 牧野 百男 氏
鯖江市は、眼鏡、繊維、漆器の地場産業が盛んなものづくり産業のまちです。鯖江を代表する産業である「めがね」を地域ブランドとして確立すべく、スマートグラス開発や世界を視野に入れた見本市開催などを進めています。漆器産業では、国内外の若手デザイナーによるデザインコンテストや商品化を進め、伝統工芸とITを融合した取り組みを進めた成果として、鯖江にIターンUターンする若者も増えています。
鯖江市では、政策の三本の矢として、「学生連携のまちづくり」「市民主役のまちづくり」「オープンデータによるITのまちづくり」を掲げています。「学生連携のまちづくり」では、古民家を活用したアートキャンプを行い、県外から多くの大学生を受け入れている河和田アートキャンプの取り組みが評価され「第6回地域再生大賞」の東海・北陸ブロック賞を受賞しました。
2008年からは、鯖江市地域活性化プランコンテストをスタート、毎年20事業ほどが学生たちから提案され、7割程度が実際の行政計画に反映されています。他にも「鯖江市役所JK課」という女子高生が所属する部署も発足させ、行政への新しい視点を反映させています。この取組みをきっかけに「OC課」という主婦が所属する部署も発足し、婚活イベントやカフェを開催、平成27年度にはふるさとづくり大賞の地方自治体表彰(総務大臣賞)を受賞しました。
また、オープンデータによるITのまちづくりでは、観光や、文化などのデータを民間企業がアプリなどを開発し市民に積極的に公開しています。
「地方から国を変える」という高い志のもと、住民参加型のまちづくりを今後も進めていきます。