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バックナンバー H26.第4.5.6講

第4講 テーマ 「自治体におけるオープンデータの戦略的活用 ~ 公共データの可能性と課題」

2014年7月11日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階 特別会議室

「自治体におけるオープンデータの戦略的活用 ~ 公共データの可能性と課題」

国際大学グローバルコミュニケーションセンター客員研究員  林 雅之 氏

オープンデータとは、政府や自治体などの公共機関がオープンに提供可能な行政情報で、機械判読に適したデータ形式で提供される二次可能なデータのことを指します。オープンデータが、民間開放されることで巨大な経済効果が期待されています。海外では、国、自治体の各レベルで多様なオープンデータの提供、活用が進んでいます。

 わが国でもオープンデータカタログサイトが公開されていますが、多くのデータがPDFであるなど、多様な活用には課題があります。

 一方、経団連が民間企業にどこのデータを使いたいかアンケートをとったところ、自治体の保有するデータに一番多く期待が寄せられているものの、自治体のオープンデータへの取り組みは十分とは言えません。こうした中で、横浜市、鯖江市、流山市、千葉市など先進的自治体でオープンデータへの取り組みが始まっており、需要と供給が相俟って可能性が幅広いデータ活用が広がります。

「データシティ鯖江=Linked オープンデータの町」

福井県鯖江市政策経営部情報統括監 牧田 泰一 氏

 鯖江市では、市民主役、市民協働のまちづくりを進め、市民主役事業として鯖江市地域活性化プランコンテストやJK課など33事業を進めています。最終的には、ITを活用した街づくりを位置づけ、ITをめがね、繊維、漆器に続く鯖江の4番目の産業に育てようと取組んでいます。

市民主役のまちづくりの基本となる鯖江市民主役条例は、新しい公共の考え方に基づいていますが、行政と市民の情報共有化を重視しています。オープンデータについて、有識者より2010年にウェブによる行政情報のあり方としてデータシティの提案がありました。現在、統計情報のほか、避難所、駐車場情報、バスロケーション等、46種類の行政情報が公開され、これを利用した民間アプリが90種類ほど開発されています。ITは、自治体の課題解決に有効であり、オープンデータはそのきっかけになると思います。

第5講 テーマ 「防犯まちづくりのデザイン~安全な都市環境の設計」

2014年8月19日(火)13:30~16:30 昭和ビル 9階ホール

「防犯まちづくりのデザイン~安全な都市環境の設計」

東京大学大学院工学研究科都市工学専攻 准教授  樋野 公宏 氏

 防犯に関する我が国の対策について、これまで主に住宅や公共施設など単体を対象とした指針が策定されてきました。一方、防犯性の高い住環境を求める国民ニーズの高まりを背景に、地区レベルでの防犯まちづくり指針が必要となってきました。このため、道路や公園等の基盤整備、民有地の建築コントロール、エリアマネジメントなどを通して防犯性の高いまちづくりを実現するための手法をまとめた「防犯まちづくりデザインガイド」を作成しました。

防犯まちづくりデザインガイドでは、従来の「閉じた防犯」から「開いた防犯」の考えを提唱しています。積極的に住民の活動や交流を促すことで、地域全体の防犯意識を高めるという考えです。一例として、習志野市等では住民が花の水やりをすることで登下校時の子どもを見守るなど、新旧住民の交流の契機にもなっています。

「開いた防犯」による防犯まちづくりの取組みは各地で始まっており、地域の実情を踏まえ、デザインガイドの活用を期待しています。

「足立区における『防犯まちづくり』の取り組みについて」

東京都足立区都市建設部ユニバーサルデザイン担当課長 須藤 純二 氏

 足立区の世論調査では、治安が悪いと思う人の割合は治安がよいと思う割合より多く、実際に、刑法犯認知件数では東京都23区でワースト1位でした。そこで、足立区は警視庁と協定を結び、「足立区総ぐるみの対策」「防犯環境による対策」「社会における規範意識上場対策」を3つの基本とした「ビューティフル・ウィンドウズ運動」をはじめました。防犯カメラの設置の拡大や自転車盗難防止のための活動そしてまちの美化推進を行っています。さらに、新開発事業地には既存住宅地よりもより深い防犯基準である防犯設計タウン認定制度を取り入れ、住宅だけでなく道路や公園とその周辺の環境防犯にも取り組み、既存住宅地には防犯まちづくり推進地区認定制度も取り入れ、地区のパトロールや照明の点灯運動など住宅への防犯まちづくりを強化していきました。

こういった取組によって刑法犯認知件数が平成24年から減り、平成25年にはワースト3位圏外となり、成果がみられています。

第6講 テーマ 「健『幸』社会の実現を目指すスマートウエルネスシティ」

2014年9月5日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階 大会議室

「健『幸』社会の実現を目指すスマートウエルネスシティ」

筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授 久野 譜也 氏

 我が国は世界最高水準の長寿化を達成しているが、かなりの寝たきり期間(男7年、女12年)が副産物としてあります。70歳を超すと人間の老化は加速、有効な手を打たなければ平均寿命が延びれば延びるほど寝たきり期間が増えることとなります。70歳以上では、外出回数と健康度に一定の関係があります。外に出てもらうことをサポートするスマートウエルネスシティ(SWC)は歩いて暮らせるまちづくりを目指しています。

WHOの資料で死因の上位に運動不足が挙げられ、運動を通じて健康度を高め医療費を減らせます。公共交通の充実など都市の構造を変えて乗換などトータルで歩く量を増やすこと、あわせて街の魅力を高め、行ってみたくなる街をつくることも健康政策といえます。SWCは、医療、健康分野にとどまらず、施策の総合化により実現できるものであり、全国7市が総合特区として歩いて暮らせるまちづくりを始めました。理想とするSWCに向け、平成21年に9市でスタートしたSWCの取組みは現在57市に広がっています。

「『スマートウエルネスぎふ』の取組み」

岐阜県岐阜市副市長 佐藤 哲也 氏

 岐阜市では平成24年に「スマートウエルネスぎふ推進本部」を設置、「歩く」ことをキーワードに全庁的な取組みとして、健康施策とまちづくり施策を一体とした、まちづくりを進めています。歩きやすい道の整備、自転車の利用しやすい環境の整備、公共交通の利便性向上を通じて、暮らすうちに健康になれるまちを目指しています。人がまちを歩けば、まちがにぎわう、人が健康になれば、まちも健康になります。「スマートウエルネスぎふ」は、車依存社会から「歩くまち」への転換を目標としています。

 「スマートウエルネスぎふ」では、具体的な数値目標を掲げ、思わず歩きたくなるまち、健康寿命が延びるまち、「歩く」ことを楽しむまちの3本柱に沿ったソフト、ハード施策を総合的に推進しています。成果の検証については、「健幸クラウドシステム」の導入により、地区ごとの健康状態を可視化、それぞれの課題を把握できるようにしています。