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H27.第1.2.3講

第1講 テーマ 「地方創生戦略のポイント」

2015年6月11日(木)14:00~16:00 名古屋栄ビル・特別会議室(12階)

「地方創生戦略のポイント」

東京農業大学生物産業学部教授・内閣官房シティマネージャー(自治体・特別参与)   木村 俊昭 氏

 地方創生を行うにあたり、①地域の産業・文化・歴史を徹底的に掘り起し、研き、地域から世界へ向け発信するキラリと光るまちづくり②未来を担う子どもたちを地域で愛着心あるよう育むひとづくり、を信条としています。①の活動では、まずまちの分析を十分に行い、地場産業(基幹産業)の支援→起業する人を支援→企業誘致、というプロセス(事業構想力)が重要です。行政は住民に対し、上から目線の「説得」でなく、「納得」してもらうために具体的な数値を示し、検証しなくてはなりません。その際、地域の住民自らがまちの魅力を知り、気付き行動することが必要不可欠です。そして地産地消だけでなく、地産外商することが出来れば、地方には大きな魅力があります。その成功例として、鹿児島県鹿屋市「やねだん」の取り組みがあげられます。

 また、②の活動では、現在、五感六育(食育・木育・遊育・知育・健育・職育)といった取り組みから子どもたちを育てることも行っています。

第2講 テーマ 「先を見越した風水害対策 ~ 事前防災行動計画(タイムライン)」

2015年6月25日(木)13:30~16:30 昭和ビル9階ホール

「先を見越した風水害対策 ~ 事前防災行動計画(タイムライン)」

環境防災総合政策研究機構、環境・防災研究所副所長   松尾 一郎 氏

 近年の台風、集中豪雨などの頻発、大型化に伴い、被害の甚大化が心配されています。2012年10月、米国東部を襲ったハリケーン・サンディは大きな高潮被害をもたらしましたが、準備された「タイムライン」従って、事前のリスク評価に基づいた数日前から防災対応に関わる全ての組織参加による避難対応の調整を行った結果、人的被害を最小限に抑えることができました。

 地域防災計画とタイムラインの相違点は、後者は災害でどんなことが起こるか頭に置いた上で、時間軸に沿って「誰が」、「いつ」、「何を」行動するのかを明らかにし、具体的な行動をとる計画です。計画に基づいて早めの避難行動、早期復旧のため資機材の退避などを行います。PDCAサイクルによる継続的な見直しを行い、教訓を次に活かす仕組みが必要です。タイムラインは行政だけでなく、企業にとっても生産の早期復旧は重要な課題です。地震のような突発的な災害と違い、水害は事前対応が可能です。

 わが国でも三重県紀宝町を始め、各地でタイムラインの動きが始まっています。先ずは地域の防災に関わる関係者の間で顔の見える日頃からの関係づくりが基本となります。

「三重県紀宝町における事前防災行動計画(タイムライン)の取組み」

三重県紀宝町特別参与・危機管理監   新元 明生 氏

 紀宝町では、平成23年9月の台風第12号に伴い、明治22年8月の十津川大水害以来の大災害を被りました。とくに平成になってから宅地化が進んだ低い土地において大きな被害を受けました。今回の大水害から、大自然の力に人間は敵わない、災害は必ず起きる、役場だけでは大災害に対応できない、行政と町民が連動した防災社会が必要、平時からの準備が大事、早めの防災行動や避難の必要性などの教訓を教えられました。

 教訓からタイムラインによる改善を目指し、紀宝町では、「人命を一番」に、防災・減災の基本方針としました。タイムライン策定には役場関係課を始め、消防団、区長会、医師会、警察、電力会社、NTT、国土交通省、気象庁、三重県などの参加を得て、「誰が」、「いつ」、「何を」、それぞれの役割を決めました。計画策定中の平成26年10月に襲来した台風第18号は試行の機会となりました。試行を通じて明らかになった課題を計画に反映、自助・共助・公助による紀宝町の防災・減災対策に生かしてまいります。

第3講 テーマ 「公共施設再編の戦略と実践 ~ まちづくりとともに」

2015年7月31日(金)13:30~16:30 名古屋商工会議所5階ABC会議室

「公共施設経営改革 ~ キーワードはまちづくり」

東京大学公共政策大学院客員教授   内藤 伸浩 氏

 2032年には、社会資本の多くが建設後50年以上を経過することとなります。限られた財源下において、道路や橋梁などのインフラの全量更新は困難であり、公共施設(ハコモノ)の更新は一層厳しいものとなります。少子高齢化、財政難、拡散した市街地などの社会的背景の中でまちづくりと一体となった公共施設の再編・統廃合を進めるとともに、まちづくりにおいて多心型コンパクトシティ、さらには都市圏を前提とした視点が必要です。

公的不動産についても、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営戦略(PRE/FM戦略)が着目されています。時価ベースの不動産利用を行い、コスト意識を持つなど行政の意識改革と同時に、利用者市民には負担者市民としての自覚を促し、人口減少時代の新しいまちづくり(まちの構造改革)を進めることが政策の柱となります。

集約化したまちづくりの核となる複合型公共施設の試みが各地で始まっています。これらの事業において、PPP、PFIなど民間の知恵と資金の活用は、公共施設を新しく造ることから、賢く使うことへの転換をめざすPRE/FM戦略の要と言えます。

「西尾市が新たなまちづくりの出発点として進める公共施設再配置」

愛知県西尾市総務部資産経営課 主幹   鈴木 貴之 氏

 西尾市では、平成23年の幡豆3町との合併を機に取組みを始めた公共施設再配置は、新たなまちづくりの出発点と位置づけています。少子化・超高齢化、合併に伴う重複施設、施設の老朽化、厳しい財政状況などが背景にあります。公共施設白書やFM戦略など体系的な公共施設再配置のロードマップを示し、積極的な官民連携手法(PPP)のほか産・官・学など様々な連携を活用しています。施設重視から機能優先のハコモノに依存しない行政サービスの提供、公共施設機能の更新優先度などの基本理念、スクラップ&ビルドによる公共施設の総量規制などの基本方針に基づいて再配置を進めています。

 公共施設の現状をデータ化した公共施設白書を平成23年より作成、公表しているほか、行政のほか専門家、市民などが協働して、平成26年には8つの再配置プロジェクトをまとめた第一次実施計画を作成。市民理解を深めるため、4地区での市民説明会、8回にわたる「にしお未来まちづくり塾」、名古屋大学との官学連携によるワークショップなどを行うとともに、その内容は市のホームページで公開しています。