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H27.第4.5.6講

第4講 テーマ 「まちの魅力を創造・発信する! シティプロモーション」

2015年8月19日(水)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階・特別会議室

「まちの魅力を創造・発信する! シティプロモーション」

ビズデザイン㈱代表取締役、明治大学商学部特任准教授   木村 乃 氏

 地域の時代におけるまちづくり政策はどうあるべきか。かつて、個性ある地方づくりと言いながら、リゾート整備で経験したように実際には規格化されたモデル事業をやってきました。定住人口から交流人口が注目されていますが、寂れたまちに人はやって来ません。テレビのバラエティ番組で人気のあるのは、観光地や文化財ではなく、まちの中の当たり前の暮らしの姿です。

 行政は住民が幸せになることを目指すべきです。ご当地愛が強く、中身が充実している地域が、他所から訪ねたくなるところです。まちの人たちが盛り上がっていることがポイントです。商品にブランド依存しすぎると時代の変化についていけなくなります。文化にブランド価値を持たせることが重要です。自らが最大の顧客としての視点を持ち、ベクトルを内向きにすることが、地域の活性化につながります。はやりの地産地消も疑ってみることが必要です。背景に地域の住民の普段の暮らしの存在が不可欠です。

 地域住民が幸せと感じるまちづくりを進めることが、シティプロモーションの原点だと考えます。

「みうらシティセールスプロモーション~三浦ファンの獲得をめざして~」

神奈川県三浦市経済部営業開発課 課長   大澤 克也 氏

 三浦市では、観光入込客の減少による地域経済の衰退、定住意識の低下、一体感の喪失などの課題に取り組むため、2004年に地域資源の「人・まち・自然」を生かした商品開発と営業を行う「営業開発課」を設置しました。営業開発課の役割は、三浦市民にわが町を再認識してもらう内向きの活動と、対外的にシティセールスを行う外向きの活動の2本立てからなります。

 主な活動として、明治大学と連携したシティセールの拠点、三浦市東京支店(なごみま鮮果)の運営、地域資源を活用した教育旅行誘致事業、トップセールスによるインバウンド事業、国内誘客を拡大するためのマグロ等を使ったオリジナルメニュー開発、鉄道会社・道路会社・船会社等と連携した誘客の取り組み、三浦国際市民マラソン上位完走者のホノルルマラソンへの派遣、フィルムコミッション活動、みうら夜市の開催などを行っています。三浦市のシティセールスにおいては、YESからのスタート、現場主義、“WIN WIN”の関係構築、スピード感、まずは目的を見つけること、などを大事にしています。

第5講 テーマ 「地域の企業と若者をつなぐ、若者の定住・UIJターンの促進」

2015年9月15日(火)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階・特別会議室

「地域の企業と若者をつなぐ、若者の定住・UIJターンの促進」~地域人材育成力を育む「地域人材コーディネート」機能構築へ~

NPO法人ETIC.チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト事業部 マネージャー   伊藤 淳司 氏

 地域の中小企業が抱える課題と、若者をつなぐ理由はどこにあるか。インターンシップには、短期の見学、体験的なものから、長期間にわたる実践的インターンシップまで多様です。注目されている実践型インターンシップは、学生が企業の中に入って、新しいプロジェクトを社長と一緒に立ち上げ、実践することで会社の役に立つと同時に自分も成長しようというものです。その際、大切なのは学生が積極的にチャレンジできる環境を用意、学生のポジティブなマインドを醸成することです。

 新しい事業に参入するための人材不足も企業側の課題です。地方の中小企業では、一緒に経営革新に挑む若者が求められています。インターンシップを通じて、今まで出会えなかった人材と、質の高いトライアルが可能です。新規事業の立ち上げ、優秀な人材との接点、自社組織に変化が見え始めた企業など成果が見られます。そこで企業と学生をつなぐ「まちの人事部」とも言える地域コーディネート機関の役割は大きく、各地で地域の実情を踏まえた組織化が進んでいます。

「若者と中小企業をつなぎ、挑戦でつながるコミュニティを育む」

NPO法人G-net 共同代表・理事   南田 修司 氏

 G-netは岐阜を拠点に設立15年、地域コーディネート機関として主に岐阜の企業と岐阜や名古屋の若者をつなぐ活動をしています。背景として、就学、就職、結婚に伴う若者の岐阜県から県外への流出があります。チャレンジする若者の育成と合わせ、魅力ある中小企業育成を通じて地域の活性化につなげることを活動の柱としています。

 主要な取り組みとして、①中長期の実践型インターンシップ、②「みぎうで」に特化した就職採用支援サービスを行っています。実践型インターンシップを通じて、新たな事業の仮説検証も可能です。地域の中小企業、若者の双方にとって、厳しい経営環境や価値観の変化する中で、ミスマッチの多い現状を改善したいと考えています。若者目線での中小企業の魅力発掘、同時に若者を採用できるような企業活動のアドバイス等を通じて、若者×地域をつなぎたい。また、企業のみならず、大学や行政など多様な機関と連携して異文化をつなぐ役割を果たし、県外からのUIJターンもめざしたい。若者の採用による地域の多くの中小企業の経営革新、若者のUIJターンなど、着実な実績を上げています。

第6講 テーマ 「稼げる地域、稼げる自治体をつくる」

2015年10月2日(金)13:30~16:30 愛知芸術文化センター12階・アートスペースA

「産業振興とは何か、稼げる自治体を創る ~地方創生:人口減少時代の地域経営」

(株)ローカルファースト研究所代表取締役   関  幸子 氏

 社会構造の変化の中で地域経営をどう進めるか問われています。人口減少が顕著な地方と、高齢者が急増する都市部では課題も異なります。取り組みにおいて全国同一の基準は不合理であるほか、地域特性を踏まえた施設の複合化・融合化、サービスの融合化と民間との連携などが求められます。地域の特性を生かした産業政策、子ども・子育て支援の充実、新しい人の流れの創出、小さな拠点づくりやコンパクトシティの推進などが必要です。地方版総合戦略が基本的な方向を示すもの、地域再生計画は実施計画といえます。

 地域の産業振興において、自らの地域の分析を通じ成長分野や意欲的に取り組む成長可能企業を徹底的に支援することが肝要です。

 自治体は、仕事や資金の地域還流を念頭に、事業廃止を含む公共サービスの見直し、税金を2回転、3回転するビジネスチャンスの創造・誘導、公共施設・空間の有効活用などコーディネートすることが求められます。

「地域の未来を担う“高校を核としたひとづくり”」

島根県立島前高校魅力化コーディネーター   豊田 庄吾 氏

 島根県海士町では、人口減少が続き、生徒数減により島唯一の島前高校廃校の瀬戸際に。高校の存続を目指すだけでは存続しない、存続には高校に魅力をつけることが不可欠ととらえ、魅力化プロジェクトがスタート。高校の存続は学校の存続にとどまらず、地域の存続ともつながります。魅力化構想とは、魅力的で持続可能な高校と地域をつくることが目標です。かつての教育的リソース・ゼロ状態を改善するため、公立の塾(夢ゼミ)をつくって島前高校から大学進学者を増やすほか、まちづくりコースの設置、島全体を「学校」ととらえ、地域の人づくりニーズに応え地域の担い手育成による人材の自給自足を目指しています。現在、島留学制度により全国から生徒が集まっています。地方で活躍する人材を育てるため、多文化共生、地域課題を自分事として考える時間をつくっています。国公立大学への進学だけでなく、成果は着実に上がりつつあります。地方の活性化には、産業振興や観光だけでなく、教育という切り口のブランド化があってもよいと思います。