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H27.第7.8.9講

第7講 テーマ 「地域と共に変革を起こす、行政チームのつくり方」

2015年10月23日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング 特別会議室(12階)

「地域と共に変革を起こす、行政チームのつくり方 ~ 地域に眠る力を掘り起し、自走型地域を実現する『地域コ・クリエーション(共創)研究』」より」

(株)リクルートライフスタイル事業創造部じゃらんリサーチセンター   三田  愛 氏

 人口減少の中、地域の連携を拡大、イノベーションを生み出すため、「自分ゴト・みんなゴト化」と「地域イノベーション」による「地域コ・クリエーション(コクリ、共創)」が重要です。キーワードは、「関係の質」、「やりたいサイクル」、「北極星=未来思考」。関係の質の変化が結果の質をもたらします。やりたいサイクルとは、ポジティブアプローチによる創造です。北極星とは、ありたい未来に向けた「想い」の力の呼び覚まといえます。

 コクリは、時代や前提となる構造が変わって過去の延長線上では解決できない今日的課題を、組織全員が縦割りでなく、前例踏襲にこだわらない「土作り」から取り組みことに意義があります。コクリ5年目を迎え、熊本県黒川温泉を始め、現在、全国15地域チームが都市・国・企業・大学・NPO等、日本中の垣根を越えたコクリを実践中。「コアチーム」創り→「火起こし」(留意点:風(刺激)、薪の組み方(仕組み)、水(やる気)が必要)。これまれでの事例から、最初は変化が見えにくいが、ある時から急激に変化が始まります。

「地域と共に変革を起こす、行政の「変革チーム創り」研究」

(株)地域のチカラ代表取締役   北岡 敦広 氏

 中央集権国家体制が終焉し、自分たちで課題を発見・解決する能力、地域独自の政策展開が必要。行政運営から地域経営の時代に入った。新たな企画立案の欠如、市民との距離感、乏しい自主財源などを背景に、民間的人材マネジメント、職員の意識改革が求められてきました。しかし、旧態依然とした組織、縦割り行政、外部との連携不足、行政まかせ、など、行政、地域双方に課題が存在しています。そのため、地域と共に変革を起こす「行政変革コアチーム創り」をスタート。そこでは、関係の質→思考の質→行動の質→結果の質を循環させる「組織の成功循環モデル」を基本とし、地域巻き込みセッションでは、未来みんなゴト会議を開催、主役は市民、行政は力を引き出すファシリテーターとして、未来思考の化学反応、うねりを生み出すよう動き始めました。

 その結果、個人の変化、チームの変化、外部との関係性の変化が大きく前向きとなり、行政も市全体の視点を持ち、市民と協働しながら強い市を創るプロデューサーとして成長。

第8講 テーマ 「高齢者を元気にするまちづくり」

2015年11月2日(月)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング 大会議室(12階)

「和光市における地域包括ケアシステムの実践」

埼玉県和光市保健福祉部福祉政策課長   阿部  剛 氏

 超高齢社会における社会保障費の増大は大きな課題です。この問題への“特効薬”はなく、地道な地域包括ケアシステムの充実がポイント。高齢者個別の課題及び地域の課題等の見える化を通じて需要量を把握し、介護保険事業計画等へ反映させることが必要です。

 和光市では在宅医療を充実させ、自立した生活の支援を住み慣れた地域で続けることができるよう、認知症リスクなど各地域別の見える化を図っています。また、居住形態に合わせた的確なサービス内容を検討し、在宅介護・医療、病院とのICTの活用し相互が連携した医療サービスの提供、一般高齢者施策と合わせ市独自の特別給付、他制度・多職種の連携などを通じて、要介護者の自立支援を進めています。和光市では、ケアプランの調整・支援、ケアマネジメントの質の向上、関係者間の連携、資質向上を図る上で、コミュニティケア会議が重要な役割を果たしています。和光市では、平成30年度を目標に、高齢者、子ども等に関わる各種ケアマネジメントの一元化を目指しています。

「元気づくり」は「地域づくり」!~ 健康増進・介護予防事業から ~

三重県いなべ市福祉部長寿福祉課長   伊藤 俊樹 氏

 いなべ市では、地域の高齢者を対象に、「一般社団法人 元気クラブいなべ」を立ち上げ、「元気づくりシステム」を、実施しています。運動を地域のお年寄りに習慣化してもらうため、ゲームや体操などを講座として受講してもらう取り組みです。参加したお年寄りが仲間意識を深め「元気リーダー」となり各地域に持ち帰り普及してもらいます。

 元気づくりシステムの普及により、介護認定率、参加者一人当たりの国保医療費の低減などといった成果も出ています。また、高齢者の健康づくりは、地域の元気づくり、公助から互助、共助、自助の比重の高い社会への移行など、地域活性化にも寄与しています。元気づくりメニューをより幅広いものとするため、地域おこし協力隊制度など他事業・制度の活用も進めています。こうした多くの効果を踏まえ、公助だけでなく住民が主体的に参加し自らが担い手となる社会を目指し、地域包括ケアシステムの構築に元気づくりシステムを活用したいと考えています。

第9講 テーマ 「リノベーションによるまちづくり ~ まち再生手法としての可能性」

2015年11月19日(月)13:30~16:30 昭和ビル 9階ホール

「リノベーションによるまちづくり ~ まち再生手法としての可能性」

都市計画家 (株)サルトコラボレイティヴ代表   加藤 寛之 氏

 リノベーションを通じてまちをどのように変えていくかお話ししたい。まちに元気がない本当の理由は、行く用のないまちになってしまったからではないか。まちを元気にするには、まちの価値を再発見し、新しいチャレンジが生まれる仕組みが必要です。リノベーションまちづくりは、その仕掛けをつくること。まちに求められている価値がこの20年の間に変わっています。商圏という概念が消滅。中心街にいることに意味を持たせるため、エリアの価値をリ・ブランディングする。自分たちのまちの現在地を知り、ファンの目線でコンテンツを再評価する。まちづくりはファンづくり。ファンがファンを増やします。

 伊賀では、潜在的ファンのハートを掴むために、伊賀の日常を切り取ることから始めました。ある一定層が反応すれば普及は加速します。まちに新陳代謝=新しいチャレンジが生まれる空気感を創り、リスクテイクする人を増やします。新規顧客獲得体験を通じて、他の既存店舗への波及効果を狙っています。

「北九州市のリノベーションまちづくり」~ 小倉家守構想でつくる官民連携プロジェクト ~」

福岡県北九州市産業経済局新成長戦略推進室サービス産業政策課   片山 二郎 氏

 北九州市のリノベーションまちづくりは、「小倉家守構想」に基づき、パブリック・マインドを持つ民間事業を公共がバックアップするものです。具体的には、まちの課題の再整理、「小倉家守構想」の策定、民間の担い手(家守)の発掘・育成、官民の連携・人材育成、民間が自走しやすい仕組みづくり等です。遊休不動産をリノベーションにより再生、産業振興、雇用創出、コミュニティ再生、エリア価値の向上などを目指しています。

 リノベーションスクールで56物件を扱い、うち17物件が事業化に至っています。小倉地区の一般的な賃貸物件(約40坪)の相場は、家賃、敷金・礼金等、改装費などを含めると300万円を超える初期投資が必要。リノベーション物件のシェアオフィス、ショップは、区画を小割することで月家賃3~5万円とし、安価に事業が始められるように。小倉北区魚町で店が持てることはステータスです。やる気のある若い人たちを中心に街の賑わいや雇用創出につながっており、この動きは北九州市の他地区にも広がっています。