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H28.第1.2.3講

第1講 テーマ 「地域を変えるデザイン ― 市民の創造力で地域の課題を解決」

2016年4月22日 13:30~15:30 愛知芸術文化センター12階・アートスペースA 

「地域を変えるデザイン ― 市民の創造力で地域の課題を解決」

issue+design代表   筧 裕介 氏

 現在日本は、人口減少や超高齢化、景気の低迷などの複雑な問題が山積みであり、世界でも類を見ない課題先進国です。この問題を解決する上で、デザインの活用が有効です。まちづくりにおけるデザインとは、「論理的思考や分析だけでは読み解けない複雑な問題の本質を、直感的・推論的に捉え、そこに調和と秩序をもたらす行為」を指します。今後は、市民同士が協働しながら国や自治体は側面支援を行う自助・共助形社会への変化こそが求められています。これまでの行政サービスを維持することが困難となるため、住民自身が魅力ある地域の発信者になる仕組みが必要です。

 今、地方で必要なことは、物質的にないものを嘆くのではなく、地域に当たり前にあるものに焦点を当てその魅力を外部へ発信して地域のファンを創り交流を促すことです。このことで地方の魅力は再発見され、その地域らしさもデザインされていきます。

第2講 テーマ 「東日本大震災から5年―復旧復興の現場から学ぶべきこと」

2016年5月18日(水)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング 

「岩手県宮古市の震災復興の取り組み」

岩手県宮古市都市計画課復興まちづくり推進室   花坂 真悟 氏

 震災で津波の大きな影響を受けた岩手県田老地区では、復興まちづくり計画を住民と協議した上で策定し、復興に向けた取組みを進めています。この策定から学んだことは、日頃から都市計画図、道路、水道、下水道などの図面情報を役場内で共有することが必要だということです。行政が空き地や空き家などの低未利用地を把握することが、災害時の仮設住宅や仮設店舗などの迅速な用地確保に繋がります。

 自治体内部の協力体制、復興に向けたまちづくりに必要な業務は常に変化し続け、住民との協働が必要不可欠であり、今後も日常的な協力体制を継続することが必要です。通常の条例では、大規模被災時に臨機の対応ができない場合があり、被災時を見据えた条例の整備も必要と考えられます。常に「災害」を「想像」しながら「対策」を「創造」するためには行政と住民、学者やシンクタンクなどの学識経験者との協働体制を日頃から構築していくことも重要です。

「岩手県釜石市の震災復興の取り組み」

岩手県釜石市社会福祉協議会生活ご安心センター 副センター長   菊池 亮 氏

 釜石市生活ご安心センターが設置されたのは、制度や仕組みになっていないサービスを提供する個別援助と地域援助を総合的に展開するソーシャルワークの構築が目的です。個別支援だけでなく地域支援を実施し、「社会資源の開発」が求められている役割です。

 震災直後は物資支援が主な活動でしたが、避難生活(仮設暮らし)の弊害のケアや集合住宅におけるコミュニティの構築などへ課題が変化してきています。

 現在では、見守りの充実(孤立防止)と被災者支援情報の一元化を行っており、被災世帯の見守り訪問に係る社会福祉協議会との連携と個人情報の共有を含む見守り訪問活動等に関する包括協定を締結しています。

 復興公営住宅におけるコミュニティ形成を図るために、自治会立ち上げの支援、コミュニティ形成支援のマニュアル化を実施しています。物質的な支援だけでなく住民による支え合いができるコミュニティ構築が、今後重要な社会資源と考えています。

第3講 テーマ 「地方創生のための新たな資金調達の方法と可能性~ふるさと納税制度・クラウドファンディングの活用」

2016年6月18日(水)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング

「FAAVO 地域の「らしさ」を誰もが楽しめる社会をつくる」

㈱サーチフィールド取締役・FAAVO事業部責任者   斉藤 隆太 氏

 FAAVOは「地域を盛り上げるプロジェクト」の支援に特化した、購入型クラウドファンディングサイトです。クラウドファンディングには、寄付型(リターンなし)、購入型(リターンはモノ/サービス/権利)、金融型(金利、配当など)に分けられます。現在普及してきている背景には、インターネットを通じて個人が大多数の人から少額の資金調達が可能になったこと挙げられます。

 地方に特化したプロジェクトを支援することで、地元を離れた都市部に在住する「地元好き」の人々がオンラインで新しい地元のつながりを生み出しています。現地での綿密なサポートを行う「エリアオーナー制度」を設け、全国59エリアに広がっています。今後より活動を広げるために、ストーリーに沿ったリターン設定、地域の人がみんな知っている場所でのイベント、まちの小さなアイデアを拾っていくことなどが必要だと考えています。

「ふるさと納税を活用した地域支援」

株式会社トラストバンク   田村 悠揮 氏

 ふるさと納税の特徴は、①寄付先の自治体が選べる②複数の自治体に寄付ができる③寄付の使い道を選べる④お礼の品がもらえる⑤税金が控除される、などが挙げられます。平成27年度の実績は、約1653億円(前年度比約4.3倍)、約726万件(同約3.8倍)と年々増えています。この結果、生産者の販売販路の変化を生み出すきっかけとなり、お礼品でのまちでPR活用や、寄付地域への新たなファンを獲得することにも繋がっています。

 ふるさと納税で集まった資金を地域に活用する取り組みとして、「ガバメントクラウドファンディング」という寄付したお金の使われ方が見える仕組みも作っています。取り組みの一例として、お礼品をモノで返す形ではなく、熊本地震の寄付金として新たな復興支援にも活用されるものもあります。今後の課題として、お礼品競争だけに終わらせず、地域と人を持続的に結びつける取り組みが重要であると考えています。