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H28.第10.11.12講

第10講 テーマ 「地域包括ケアの地域づくり」

2017年2月7日(火)13:30~16:30 オフィスパーク名駅プレミアホール403ABC(大一名駅ビル4階)

「地域包括ケアの地域づくり」

藤田保健衛生大学 地域包括ケア中核センター 講師   都築  晃 氏

 地域包括ケアは、医療・介護・保健・生活支援・住まいの各分野が連携する幅広い取り組みに、自助・互助も組み合わせて進めるものです。しかし、今日の医療・介護の学校教育で包括ケアに関するカリキュラムは存在しません。学校法人が包括ケアを担う人材育成の介護保険事業所を持つのは本学が全国初。大学病院が介護保険事業所を持つことで、訪問診療との連携を円滑にするほか、地域との連携を高めるため、豊明市地域包括ケア連絡協議会に本大学の地域包括ケア中核センターが参加、包括ケアに関わる様々な職能団体との連携や介護予防の専門的な支援などを行っています。

 豊明市、UR都市機構、大学の3者による「けやきいきいきプロジェクト」の一環として、健康づくり、地域の交流、相談などを担う「まちかど保健室」を大学が豊明団地内に設置。また、高齢化の著しい豊明団地に学生が居住し、居住者の買物運搬支援、防災訓練、交流などに参加、地域の現状を理解し、まちづくりができる人材育成をめざしています。

「基礎自治体職員に求められる役割 『地域包括ケア“豊明モデル”から』」

愛知県豊明市健康福祉部高齢者福祉課地域ケア推進担当係長   松本 小牧 氏

 豊明市では、豊明団地をモデルとした「けやきいきいきプロジェクト(愛知県地域包括ケアモデル事業)」(平成26年度)を契機に、地域包括ケアを全市に拡大して展開中です。

 「普通に暮らせる幸せ」を支えるのが「地域包括ケア」。取り組みにおいて、①事業を縦割りでとらえない、②地域の既存データを活用する、③高齢者の生活課題からスタートする、④国が示す仕組みを新たにつくるより地域にあるものを活用する、などの視点が重要です。豊明市という地域が必要とする包括ケアとは何なのかを明確化した上で、地域の様々な既存の生活支援活動の組織化と支援・活用、民間事業者等による公的保険外サービスの掘出しと活用などを通じて、地域に根ざした各人の尊厳を尊重した自立や人生の支援、多職種の組織的連携と持続可能性をめざす取り組みなど、実践を積み重ねと検証を繰り返しながら、「豊明版地域包括ケア」の構築をめざしています。

第11講 テーマ 「地域イノベーションを創る ― 地域発、世界に通用するブランドづくり」

2017年2月 23日(木)14:00~16:00 名古屋栄ビルディング大会議室(12階)

「シリコンバレー流地域づくり ― 地域プロジェクトは“1勝99敗”、“早くたくさん失敗しよう”」

NPO法人「まちづくりGIFT」代表理事、地域プロデューサー、慶應義塾大学(非常勤講師)   

齋藤 潤一 氏

 本日は、地域ビジネスで社会を変えるためにはどうするか、皆さんと一緒に考えたいと思います。各地で地域ビジネスが取り組まれていますが、持続可能なものであることが重要です。地域の歴史や文化を次世代につなぐため、これらを支える地域経済が不可欠です。地域ビジネスとは、稼ぐ人材育成を通じた地域経済づくり、まちづくりと言えます。留意点として、補助金“漬け”を避け、ビジネスのための投資にしなくてはなりません。小さなビジネスのスタートには、クラウドファンディングなどを始め、多様な資金調達方法があります。

 地域のイノベーションが求められていますが、社会が大きく変化する中で地域ビジネスには柔軟性と素早い判断、対応が必要です。地域ビジネスを通じた地域づくりは、①発見=顧客の声を聞き共通の課題を発見、②磨く=ワークショップで実現可能なビジネスプランを構築、③発信=テスト販売でお金を稼ぐ・結果の分析、①→②→③の取り組みを回すことを基本とします。顧客ニーズの読み間違い、ターゲットの間違いなどを発見した時は、直ちに改善する。時にはコンセプトごと変更することも必要。地域プロジェクトは、小さな失敗を早い段階で見つけ、早く改善する。

 イノベーションは、1人の人間の想いから始まります。一人ひとりに想いを伝え、仲間が増え、地域が動き、地域がつながります。地域ビジネスが動き始めます。イノベーションの答えはひとつではありません。チームで役割分担しながらプロジェクトを進めることが必要です。そして、小さな成功を積み重ねながら大きく育てることが持続可能な地域づくりにつながります。

第12講 テーマ 「ないものはない ―離島からの挑戦 ~最後尾から最先端へ~」

2017年3月 21日(火)14:00~16:00 昭和ビル 9階ホール

「ないものはない ―離島からの挑戦 ~最後尾から最先端へ~」

島根県隠岐郡海士町 町長   山内 道雄 氏

 私が町長に就任した平成14年には、昭和25年当時約7,000人近くいた海士町の人口は、1/3ほどに減少、超過疎化、少子高齢化、超財政悪化により財政再建団体へ転落寸前の状態でした。島が生き残るため、特別職、一般職員、議員の給料、歳費カットを始め行政と住民の間で危機意識の共有を図りました。

 危機脱出をした後は、生き残りをかけた攻めの戦略に移ります。地域再生戦略の柱は、島まるごとブランド化、成長を島の外に求めることです。町政運営のキャッチフレーズとしている「ないものはない」とは、島の資源を始め大切なものはあることを意味します。私は「地産地商」と呼んでいます。役場は「住民総合サービス株式会社」であり、住民の立場に立ち、従来の補助金獲得型行政から提案型行政への転換が必要です。すなわち、これまでの補助金獲得から行政が稼ぐ構図へ行政の役割の転換、東京をマーケットにすること=全国に通用する、高学歴のIターン人材の積極的活用など、自立・挑戦・交流を町の経営指針として挑戦中です。

 「まちづくり」の原点は「ひとづくり」にあります。人づくりとモノづくりの両輪によって持続可能な地域が生まれます。また、生徒数の減少で統廃合の危機が迫っていた島前高校も、同校魅力化プロジェクトにより、今や全国から生徒が集まる高校となっています。

 ハンデをアドバンテージに、ピンチはチャンス。自立に向かい小さな島の挑戦に終わりはありません。