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H29.第1.2.3講

第1講 テーマ 「地方の魅力を編集し、発信すると何が起こる?」

20175月11日(木)14:0016:00 名古屋栄ビルディング 特別会議室(12階)

「地方の魅力を編集し、発信すると何が起こる?」

 月刊「ソトコト」編集長  指出 一正 氏

   20116月号から月刊ソトコトの編集長をやっています。編集長を務めるに当たって、お仕着せのライフスタイルの提案を止め、雑誌で取り上げる地域との継続的に関わり、自分が現地で見聞きした一次情報を伝えています。幕の内弁当のような情報発信で本当に地域の魅力が伝わるのだろうか。まずは土地の人に自分たちの地域の魅力を知ってもらうことを出発点に置き、平面的な情報ではなく、様々な視点からの情報発信を行っています。

  ソトコトについても自分が編集長を務めるようになってから、雑誌のサブタイトルを「ロハスピープルのための快適生活マガジン」から「ソーシャル&エコマガジン」に変更。ソーシャルとは、社会をより良く面白く変えていくこと、社会にどう関わったらよいかといった意味に僕たちは定義しています。高知県の「とさぶし」を通じた地域の隠れた魅力発券、島根県の「しまコトアカデミー」による東京の若者の呼び込み、山形県朝日町の桃色ウサヒを媒介とした「まきこみ型」地域づくり、岩手県遠野市から始まった「Next Commons Lab」の取組み、島根県江津市の「蔵庭」を通じた「かかわり代」のあるまちづくりなどが一例です。

新しい地方を編集し、発信するソーシャルな視点で大切なことは、①関係人口を増やすこと、②未来をつくっている手応えがあること、③「自分ごと」として楽しいこと、等に集約されます。

第2講 テーマ 「地域資源をプロデュースする!~地域産業・企業の新しい価値を創出~」

2017年6月16日(金)13301630 昭和ビル 9階ホール

「地域資源をプロデュースする!~地域産業・企業の新しい価値を創出~」 地域に眠る宝を磨き、ブランドにする方法

(株)クリエイティブ・ワイズ 代表取締役  三宅 曜子 氏

 地域資源の売り出しおいて、皆さんの多くは行政職員として、仕掛け人、サポートする立場。気づかない地場の資源を見つけ出し、事業者に売り上げを伸ばしてもらうか、売り出し後のフォローも含め、私が取り組んでいることをお話ししたい。

  一例として、“なでしこJAPAN”国民栄誉賞記念品として贈った広島県熊野町の竹田ブラシ製作所の化粧筆に見るように、従来の「モノ」から、製品に「コト」「ココロ」という地域ならではのストーリーやターゲット、地域活性化に結び付く事業テーマ、差別化、売り出す舞台等を明確にし、メーカーが見えにくい分業生産の筆を世界的ブランド化に成功。

 ブランド化のポイントは、①モノではなくコトを見る、②地域の資源を視点を変えて見る、③伝統・古いものを現代に合うように活かす、④将来の時代を読み価値に気づく視点を広げる、⑤細部にまでこだわる、こうした視点を持つことが重要です。

「奈良さくらコットン ~大和高田ブランド戦略による地域産業の活性化~ 」

大和高田商工会議所にぎわい大和高田推進課  森田 美穂 氏

  大和高田は古くから発展したまちです。しかし、市街地の道幅は狭く車社会に対応できていないことから、市街地は空洞化。平成18年に商工会議所に「まちづくり委員会」を設置、当初は短所の発言が目立ちましたが、次第に長所に気づく発言も出るように。

 江戸時代の大和高田は綿問屋のまちとして栄えた歴史があります。綿産地として発展した背景に降水量が少ないハンデを逆転の発想でプラスに変えた先人の知恵。明治には地元資本で大和紡績工場を設立、工業の発展に伴い商業も発展。綿は大和高田にとって特別の意味があります。地域振興で大切なことは、①自分のまちに自信と誇りを持つこと、②歴史は伝えていくことなど。①さくらコットンだけで紡績、②漂白・染色しない、③大和高田の工場で製造するブランド基準により製品開発。平成25年からはJR京都伊勢丹で販売開始したほか、三越日本橋本店にも進出。綿栽培のイベントなど、地元の人と共に地域産業としてのブランド化を進めています。

第3講 テーマ 「都市のコンパクト化の可能性と方策 ~ 健康・福祉に対応したまちづくり」

2017714日(金)13301630 名古屋栄ビルディング 特別会議室(12階)

「これからの都市計画と健康まちづくり」

 筑波大学システム情報系社会工学域 教授  谷口 守 氏

 まちの構造は自動車利用の大小によって大きく変わります。当初、コンパクトシティの議論は環境問題からスタートしました。都市のコンパクト化は、西欧諸国では20世紀後半から注目されてきましたが、日本では2007年になって社会資本整備審議会第2次答申で集約型都市構造(コンパクトシティ)が提起され、13年に交通政策基本法、14年に都市再生特別措置法改正、地域公共交通の活性化及び再生法改正等に伴い、「健康・医療・福祉のまちづくりガイドライン」も策定され、都市交通とまちづくり、健康等に着目した取り組みが始まったところです。

 歩行と健康の関係について、各地の調査結果から一日の歩行距離と死亡率との有意な関係が確認されています。コンパクトなまちづくりは、健康まちづくりとも言えます。合理的な土地利用計画の策定、公共交通サービス水準の向上、公共・公益施設の連続性、自動車交通との棲み分け、快適な歩行環境整備等がまちの質を高めます。

「 コ ンパクトシティの実現に向けて ~「住みたい」「住み続けたい」と思えるまちづくりへの挑戦」

広島県府中市建設産業部まちづくり課 係長   能島 克則 氏

主任技師 川崎 智隼 氏

  府中市では、平成15年都市計画マスタープラン改訂に伴い、市街地のコンパクト化をめざすこととなった。土地利用の方針として、(1)住・工・農が調和した市街地形成、(2)都市として魅力活力の向上(中心市街地ゾーン)、(3)豊かな自然や農地を生かしたまちづくりを進めることとし、市内で住み続けられるネットワーク型のコンパクトシティのため、若い世帯の流出を食い止めるため「居住誘導区域」の設定、中心市街地での「都市機能誘導区域」の設定、集落市街地の地域の核維持とネットワーク確保などを図ります。

 コンパクトシティの実現に向け、①住み続けられる「まち」として、日常生活に困らない町=生活中心街の育成、②都市機能の集約による歩いて暮らせるまちづくり、③公共交通の充実、④歴史的資源の活用などを総合的に進めるため、都市計画分野のほか、医療、福祉、商業、文化、財政等、他分野と連携したまちづくりが課題です。