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バックナンバー VOL.101

日本人?外国人?

 来年の2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催されます。豊田スタジアムでも3試合が開催され、今からとても楽しみです。ところで、ラグビーの日本代表には「外国人のような」選手が多く入っています。現在の日本代表選手33名のうち、外国出身の選手は10名おり、日本代表チームの主力となっています。外国出身の中には日本国籍を取得した選手もいますが、多くが日本のチームでプレーする外国籍選手です。

 オリンピックやサッカーワールドカップなどでは「日本代表=日本国籍」となっています。最近は父親又は母親のどちらかが外国人のハーフの日本代表選手も増えていますが、原則として日本国籍有しています。

 一方で、ラグビーは特殊なルールがあり、国や地域の代表資格は次のように定められています。

 ある国・地域の代表としてプレーする資格を得るには、当該国・地域でその選手が生まれたか、両親、祖父母の1人が生まれている、もしくはその選手が36カ月継続か通算10年にわたり当該国・地域に居住していることの、どれかを満たす必要がある。

 つまり、国籍は必ずしも必要ないのです。当初はイギリス連邦を中心に普及したスポーツという歴史的背景もありますが、国や地域の代表は、国籍を有する人の代表ではなく、そこでプレーしている人の代表という考え方なのです。「ラグビーの日本代表は外国人ばかりで応援できない。」という人も多くいますが、ラグビーの世界ではこれが私たちの代表なのです。ちなみに、ラグビーの日本代表の選手たちは、外国籍の選手も含めて全員が、君が代の意味を勉強し、試合前には斉唱しているとのことです。

 

 もう一つ、日本人と外国人について考える出来事がありました。 現在、ある市の多文化共生プランの策定に関わる中で、いろいろな国の人が一緒にまちを歩きながら交流する「多文化共生まちあるき」を定期的に行っています。そのイベントを進行する中で、私は便宜的に日本人チームと外国人チームに分けようとしました。しかし、参加者の中には、「日本生まれの日本国籍の住民」「外国籍で日本語がうまく使えない人」だけではなく、「外国籍だけど日本で生まれ育ち、日本語も堪能に話す小学生」「母親は日本人、父親が外国人のハーフで、日本国籍の母親と一緒に参加した外国籍の小学生」「外国出身だが、日本での生活が長く、日本に根付いて暮らす外国籍住民」など、様々な人がいました。日本人チームと外国人チームに分けようとしながら「日本人、外国人とは何だろう?」と自分でもわからなくなってしまいました。つまり、分けることがナンセンスだったのだと思いました。

 人を国籍で区別すること、日本人と外国人を分けること、様々な制度に基づき実施するためには必要な部分もありますが、私たちの日常的な生活の部分では、どうでもよいことだと思います。

 ラグビーの国や代表資格の考え方は、これからのグローバル社会の中では、その他のスポーツも含めてスタンダードになるべきではないかと考えます。

 とにもかくにも、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、日本に頑張って欲しいと思います。