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その60 愛知県岩倉市~空き家活用 ~tebayoの取り組み~ (2018 JUN.ちもんけん VOL.101)

岩倉市役所 福祉課 真野 友貴 さん

         市民窓口課 金森  隆 さん

 岩倉市内で空き家を活用した新たなの場づくりに取り組んでいらっしゃるのが、福祉課課の真野友貴さんと市民窓口課課の金森隆さんです。全国で「課題」として捉えられている空き家を、「まちの資源」として捉え、自分達が楽しみながらイベントを通じて地域の拠点として活用されています。公務員の有志で自主的に取組んでいる、「tebayo」での取り組みと今後の目標にについてご紹介いたします。

 

tebayoを始めたきっかけは何ですか。

 きっかけは2015年3月8日(日)でした。愛知県知立市で開催された「第6次総合計画キックオフフォーラム」に長野県塩尻市の市職員 山田崇さんが行われている空き家活用の「nanoda(なのだ)」の取組みを知ったことがきっかけです。 有志の公務員で空き家を借りて地域の賑わいを創出している取組みとして「地域に飛び出す公務員アウォード2013」の大賞にも選ばれています。

 講演の中で、「「公務員がいない地域はない」「公務員が元気ならまちは元気になる」「やってみないとわからない」という言葉を聴いて、岩倉市職員の金森、真野、岩倉市商工会職員の加藤の3人が感銘を受けたことがきっかけで、活動が始まりました。

 

■空き家を借りるまでの経緯と苦労を教えてください。

 初めは岩倉駅近くの商店街にある空き店舗を借りに行きましたが、家賃が月6万円ということで断念。その後、半年ほどかけて空き店舗などを探しもなかなか見つかりませんでした。そんな中、金森が仕事上でつながりのあったの方「空き家があり、誰も借りる人が居ないから困ってる。」と聞き、即決で借りることにしました。

 

■空き家を借りてからの苦労と気付いたことはありますか。

 どこの空き家や空き店舗でも借りて最初にすることは一つしかありません。

 それは「掃除」です。築40年以上、空き家になって10年以上経っておりますので、とにかく掃除をしなければ使えません。掃除の大変さを実感すると同時に可能性を感じました。大家さんからは「内装・外装も何でも好きに使って良いよ。」と言っていただき、この空き家のアレンジを考えるだけでワクワクドキドキとした気持ちになりました。活動の中で気付いたことは、空き家は資産であるということです。全国的に空き家が問題になっていますが、空き家ほど初期投資が少なく、活用できる資産は他にありません。全国的に問題になるほど、物件は多い活用を推進していくべきだと強く感じました。

(イベントではまちの人の話を聞くものや地産地消の朝ごはん会、ミスチルナイトなど参加者がやりたいことをやってみる場となっています) ■イベントを通じて感じた面白いこと・ 参加者や地域の人の反応を教えて下さい。

 tebayoは「〇〇するってばよ!」というように語尾に「てばよ」とつけることで 「誰もが気軽にやりたいことにチャレンジできる拠点」 、「人と人、人と地域をつなげる拠点」として活動を行っています。

  私達の本業はあくまで公務員です。この活動を通して、岩倉の良いコトや良いモノに少しでも触れてもらえれば良いなと思い活動をしています。様々なイベントを実施していく中で、イベント参加者から「こんなイベントがやりたい!」といった声を聞くことができ、面白さと可能性を感じています。 誰かの「なにかやりたい」が実現していく場として、イベントの参加者が自ら「浴衣でかき氷食べるってばよ!」という企画を計画したところ、市内のケーキ屋さんに協力いただいて複数のシロップもご用意いただき、当日は20名ほどの人が集まり大盛況でした。

 また、市内でお店をやっている参加者の方のお店に、別の参加者がその方のお店を訪れるようになりtebayoのイベントを通じて人と人とを繋げることができたと感じました。誰かの「やりたい」tebayoという場所を通じて形になる喜びを感じています。

 

■これからやっていきたいことは何ですか。

 活動を続けていく中で、新聞や雑誌で取り上げていただいたり、自治体の研修やフォーラムなどで事例報告をさせていただいたりと様々な場所・機会で岩倉をPRすることができ、とても嬉しく思っています。

 こういった機会をいただけるのも地域に飛び出し、活動をしていることの良い結果なので、今後も「岩倉に“ ちょっとだけ ”良いことをする」を合言葉に活動を続けていきたいと思います。

 

■お話を聞き終えて・・・

 定期的な朝ごはんイベントなど人が集まりやすく、参加者が参加しやすい安心感のある場づくりをtebayoのイベントからは感じます。決して無理せず、少しずつ、着実に。そして、確実に携わる人にプラスの影響を与える場は、今後の空き家活用における1つの有効的な活用事例になるのではないかと思います。

 

(文責/橋本健太)

 

その61 産学官の若手が集結し、最先端テクノロジーで革新を起こす (2019 MAR. ちもんけん VOL.103)

若手サミット実行員会

丸澤 敏宏 さん

「若手のチカラで、地域の未来を切り開く!」業界・職種を超えた地域のステークホルダーが連携し、世の中をワクワクさせるようなイノベーションを起こせる世界を創りたい。そんな思いをもって活動している若手サミット実行委員会の丸澤さんに話を伺いました。

 

〇若手サミットとは?

 地域社会のリアルな課題と向き合う行政・企業・団体と多様なバックグランドを持つ若手を繋げ、新しいテクノロジー、メソドロジーを活用して、課題解決を目指す団体です。

 参加者もビジネス、エンジニア、行政、大学生と業界・職種・年齢も様々です。

  運営事務局もビジネス、エンジニア、行政など様々な職種から有志が集まっています。

  普段接しない背景の異なる人達が集うことで新たなアイデアが創出され、またイベント終了後も繋がりから普段の仕事にも良い影響が出ているという声もあります。

 若手は何歳までかという質問もされますが、「気持ちが若ければ何歳でもOK」というスタンです。実際に高校生から50代の方まで幅広く参加していただいています。

 

〇若手サミットを設立するきっかけを教えてください。 

 きっかけは、若手の仕事に対するモチベーションをアップさせたいという思いからでした。昨今の若手はインターネット、スマートフォンなどの従来と異なるテクノロジーを当たり前のように使う、新しい世界観をもっています。しかし、経済的に成長した日本において、新しい世界観によるアイデアは既存の考え方と競合するため、周囲から批評されるケースがあります。結果的に、人に誇れる事、ワクワク夢のある事を自由に語り、具現化に向けて挑戦するきっかけとなる場が少ないように感じました。

 一方で、世界では日々、最先端のテクノロジーが生まれています。しかも、そのテクノロジーの一部は、インターネットを経由して、いつでも、どこでも、初期コストをかけずに利用できるようになってきています。つまり、地域の人が起点となって、世界のどこかで生まれた最先端テクノロジーを使い、地元の課題を解決することが可能になったともいえます。

 発起人たちは、若手の創出したアイデアが周囲の人から認められ、初期コストをかけずに具現化できる最初の場をつくりだし、若手が自信をもつことができる場、あるいは、活動の中で失敗しても許される実験の場を作りたいと考えました。

 

〇どのような活動を行ってきましたか?

 平成25年に第1回となる若手サミット@名古屋を開催し、昨年で5年目となりました。

 平成30年は12月1日、8日、9日の3日間で、デザイン思考の活用、フィールドワーク、ハッカソンを行い、最終日には企業・行政から有志でお集まりいただいたエグゼクティブにプレゼンを行いました。

 テーマも行政課題(防災・多文化共生など)から、スポーツ団体や伝統工芸が抱えている課題など様々で、多様な参加者が集まることで最終プレゼンは大変面白く興味ある提案ばかりです。

 運営事務局により課題・課題提供者を探し、イベント当日まで問いの設定を議論します。参加者募集も口コミ・SNSなどを活用し、幅広く募集しています。

 行政からは後援名義、名城大学の協力による場所(名城大学ナゴヤドーム前キャンパス西館2階shakeの貸し出しなど、多方面からバックアップがあり、イベントが成立しています。

 イベントで提案されたアイデアは、イベント参加者や運営事務局などでチームを組成し、具現化に向けて活動を行うものもあります。あるアイデアは他の地域のイベントで賞を取り、あるアイデアはスポーツイベントで実証実験を行うなど、単なるイベントで終わらせない所が、若手サミットの良さの一つでもあります。

 この数年では他団体からの依頼も増え、自治体のシティプロモーションやスポーツイベントに関するイベントも実施するなど、新たな試みも出てきています。

 

〇これからに向けて

 名古屋は日本の縮図とも言えます。ものづくりの企業が多く、高層ビルが立ち並ぶ地域がある一方で農業地帯もあり、スポーツ団体があり、伝統工芸もあり、食文化もあります。そこにはたくさんの課題があり、困っている方がいます。

 名古屋の課題を解決することで、他の地域でも解決できる可能性があります。

 平成31年3月には愛知県を飛び出て、初めて関西(大阪)で「若手サミット@関西」を開催しました。徐々にではありますが、確実に広がり始めています。

 現在は政令指定都市を始めとした、いわゆる「大都市」の開催ですが、今後は様々な地域でも開催していきたいです。

 若手サミットを名古屋だけに留まらず、日本各地、世界にと広めて、より多くの人達の課題を解決し、また繋げることでより良い社会への一助となればと考えています。

 

(文責:主任研究員 池田 哲也)

その62 みんなや地域を元気にする「しあわせ・かき氷店 (2019 JUN. ちもんけん VOL.104)

しあわせ・かき氷店

木下 順弘 さん

〇天然水のかき氷との出会いはどのようなことでしたでしょうか。 

 あま市として合併してから、地域での防犯活動が広がるように企画やその具体化に力を傾けました。退職後は、やりがいのあることは何かを考えるうちに、八ヶ岳の天然氷蔵元「八義」とめぐり合い、良質な天然水のかき氷のうまさに感動して、1ケ月間住み込みで研修したわけです。

 

○計画を温めて店を開けたのでしょうか。

 いろいろと紆余曲折があり、本格的には昨年、所有の木造アパートを壊して、今の小さな店を大工さんと一緒に建てて、昨年夏に開店しました。それ以前には、まちづくりにこだわりたいと、まず、三重県いなべ市の地域おこし協力隊に応募したんですね。廃校となった西藤原小学校の活用をしかけて、いなべを訪れた人が「ありがとう、いなべ」と感動できる場にしたかったです。

 ところがあま市の地元で区長のなり手がないということで困っていました。区長を受けると地域おこし協力隊については退任して、区長とかき氷店の二足のわらじを履くことになりました。

 

○単なる区長ではなく、何か活動を工夫なさっていると思いますが。

 自治体職員としてやり切れなかったことをやり直すという思いがあります。特に防災について実際に役立つ活動を広げようとしています。大地震が来た時に家が密集している場所も多いので、火災の発生、延焼をくい止めることが減災のために不可欠です。

 まず、そこに焦点を絞って、それぞれの町内会で、消火栓、消火器、バケツの汲み置きを使った消火訓練を行うように徹底するように促していこうと計画しています。そのうちに、それぞれの町内会が必要な備えについて気付いて次の活動に取り組むような流れを起こすことができれば災害に強い地域づくりが始まると考えています。

 ―削った氷がふわふわとして、食べても頭がキーンと来ませんね。

 天然氷は薄く削ることができるので、胃の壁に氷が到達しないからです。胃の壁に冷たい氷が来ないから、脳に痛いという信号が送られないのです。氷は天然水蔵元「八義」から仕入れています。シロップ、練乳、フルーツなどのレシピは南アルプス・天然氷蔵元八義さんのものを忠実に守っています。ただし、フルーツや食材は地元の物を探してみたり、いなべで知り合った農家から取り寄せたり、良い食材をできるだけ地元から探すことにこだわっています。

 

○ユニークな食材の発見のようなコンセプトの経営ですか。

 店のコンセプトというのは、「しあわせ・かき氷店」とネーミングに込めたように「お客さんも作り手も幸せを感じる」ということです。役場の企画行政を担当した経験から、コンセプトの大切さを感じてきました。自分の店も町と同様で、常にポリシーを念頭に置いて吟味して、食材を選んでいるわけです。

 甚目寺でも、空き家や駐車場が増えていますが、この店の話題性や賑わいで町の雰囲気を明るくする貢献ができようになれば嬉しいです。

 

○店のPRはどうされたのですか

 開業前は、全く宣伝をしませんでした。国際交流や学童保育、いろいろな活動で知り合った人がお客さんで来てくれます。みなさんから庭に草花を提供していただいますが、駐車スペースの土が少しずつ緑に覆われていくイメージを描いています。昔の仲間やその知人達が忙しい時のスタッフとしても手伝ってくれて、人のつながりは大きな力になると感謝しています。

 夏にオープンした時には、1日200人と大盛況でした。冬はさすがに来客が少なく、ランチとしてスパイスカレーとカレーうどんを始めたわけです。

 あま市のまちおこしのうどんで、特産の小松菜を練りこんだご当地うどんもおいしいので、カレーうどんにアレンジしました。ランチは料理教室で知り合った主婦に調理をお願いしています。安全安心で美味しいさくらポークもいなべから仕入れています。

 

○フェイスブックには「孫の事で臨時休業します」と微笑ましい情報も見ました。

 開店予定のカレンダーを出していますが、この5月はかき氷を水曜日から日曜日、ランチは水木金と予定しています。

 

○今日は子ども連れの主婦、子育て家族が多いですね。 

 さっきの主婦の方々、お父さんと来ている人は初めての方々で、稲沢や弥富の人でした。いろいろなお客さんとも会話を楽しんで、(シロップを変えようか)とかヒントをもらっています。

 

○今後、どんな作戦で進められますか。

 店をスタートして1年を経ていませんが、仕事や地域、退職後に手伝った活動で培うことができたつながりはとても貴重だと実感しました。こうしたネットワークを生かそうと、いろいろなアイデアを温めています。今年の七夕や8月の土日には、円頓寺商店街の中の東、金毘羅神社近くですが、従姉妹の店で試しにかき氷をやってみますので、ぜひご期待、ご来店ください。

 

*しあわせ・かき氷店 

〔南アルプス・八ヶ岳が故郷 天然氷〕 

名鉄津島線甚目寺駅の北口から東へ徒歩5分。

〒490-1111 あま市甚目寺桜田14番地

電話 080-5127-2641 

https://ja-jp.facebook.com/

shiawasekakigooriten/

 

(文責:主席研究員 田辺 則人)