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H26.第7.8.9講

第7講 テーマ 「企業誘致から地元企業育成へ」

2014年10月16日(木)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階 特別会議室

「企業誘致から地元企業育成へ」

拓殖大学政経学部教授 経済学科長 山本 尚史 氏

 我が国の人口が2005年に対して2050年には25%余減少する中で、地方部ほど減少幅は大きくなります。その結果、地域企業と地域経済の悪循環が想定されます。低成長時代に地域が栄えるためには、地域の中小企業の内発的発展、自らを高付加価値化、地域内資金循環など、進取の精神が旺盛な中小企業が繁栄するようなビジネス環境を構築することが必要であり、エコノミックガーデニング(EG)のポイントといえます。

 EGは、1990年代に米国で始まった企業誘致に頼らない取組みで、全米各州に広がっています。EGに取り組む多くの自治体で就業者数や税収の大幅な増加という成果を見ています。現在、我が国でも多くの自治体で取組まれています。地元中小企業が成長する環境整備として、キーパーソンのほか、多様なコネクション開拓、企業認証などのネットワーク形成、ビジネスセンスのある人材によるコーチング、多様なメディア活用による情報発信力の強化など、地域の実態を踏まえた環境整備が必要です。そのため、産学公民金、各分野の人的資源の連携が重要となります。

「Oka-Bizを拠点とする地元企業育成の取組み」

愛知県岡崎市経済振興部商工労政課 加藤 史朗 氏

 Oka-Biz誕生の背景として、岡崎市では商業、工業とも売上や出荷額は変わらないものの、企業数、とくに中小規模事業所の減少が大きくなっています。企業主は売上を伸ばし、新分野への販路開拓を望んでいるものの、どこにも相談していない企業主が多いことが明となりました。

 Oka-Bizの事業内容として、ビジネスコーディネーターによる売り上げを伸ばすための各種相談、相談内容に応じて必要な専門的指導や支援機関へのマッチング、中小企業の課題解決、起業・創業支援等に関する情報収集や発信などを行っています。平成25年12月の開設からこれまでに1,404件の相談を受け、リピート割合も73%と高くなっています。

 Oka-Bizがめざすミッションとは、地域の中小企業のビジネスにおける挑戦を応援するところにあります。ソーシャルビジネス支援から産業支援全体を支える市、金融機関、商工会議所を巻き込んだ産学官民の連携体制が動きつつあります。

第8講 テーマ 「若者の力がいきるまち~学生の力と感性の活用」

2014年11月14日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階 特別会議室

「若者の力がいきるまち~学生の力と感性の活用に向けて」

愛知学院大学地域連携センター所長、経済学部教授 鵜飼 宏成 氏

 私が進める起業家教育は、学生たちが問題を見つけ、アイデアを考え、プランを作って企業等に相談、商品化・システム化に結び付けるというプロセスがあります。起業家教育の目的として、地域再生、学生のキャリア形成、大学の特徴づくりなどがあります。

地域再生には、企業誘致、財政による所得移転、地元の産業振興などが考えられます。大学の役割として地域といかに向き合うかが重要であり、生活を支える現場づくりなどを通じ、大学が地域再生を担うため、地域連携センターの役割があります。どのように学生を教育し、社会に送り出していくかが問われます。その中で一番身近なものとして、まちづくりがあり、産業界も含めた地域振興人材をいかに育てるかと言えます。地域振興人材の能力を開発していく上で現場での経験が重要です。名東区藤が丘や北区柳原商店街においては、学生たちが地域の人々と一緒になって、まちづくり活動、商業振興活動、防災マップ・防災ラジオドラマづくりなどに携わらせてもらっています。

「『学生のまち・金沢』の推進」

石川県金沢市市民局市民協働推進課長 東  利裕 氏

 金沢市には、金沢大学を始め9校の高等教育機関、隣接自治体を含めると18校、32,000人余の学生を擁し、学都といわれる所以です。しかし、キャンパスが手狭になったため、2校を残して郊外に移転しました。この結果、まちなかの若者の減少や住民との交流の希薄化などの課題が出て来ました。このため、「まち」をキャンパスとしてとらえる取り組みをスタートさせています。平成22年には「学生のまち推進条例」を制定、その中で金沢まちづくり学生会議が中心となって「まちなか学生交流街MAP」や「学生まちなか塾」、金沢に来た新入生に金沢を知ってもらう「OPENCITY in 金沢」などさまざまな活動を行っています。また、学生と市民の交流拠点「金沢学生のまち市民交流館」も整備しました。

 金沢を外部に発信するため、全国の学生が参加する「歴史的空間再編学生コンペ」や慶応義塾大学と共同の「金沢×慶應 金沢元気プロジェクト」なども動き始めています。今後の課題として、活動の継続と成長、より多くの学生の参加を促すことなどがあります。

第9講 テーマ 「地域自治力の再構築 ~人口減少・高齢社会における地域自治のあり方」

2015年1月23日(金)13:30~16:30 名古屋栄ビルディング12階 特別会議室

「地域自治力の再構築 ~人口減少・高齢社会における地域自治組織のあり方」

四日市大学副学長・教学部長・総合政策学部教授 岩崎 恭典 氏

 日本の総人口は2005年をピークに減少時代に入りました。1950年の人口9000万人と、2050年に想定される9000万人の総数は同じでも、前者の高齢化率が5%に対して後者は35~40%と推計されます。生産年齢人口のピークは1995年であり、税収が減る中で増加する高齢者への施策など、人口減少社会を真正面に見据えた仕組みが必要です。

一例として、2022年には団塊世代が後期高齢者となります。厚労省が進めている地域包括ケアシステムの目標年次2025年では遅いと考えます。地域全体が高齢社会となったとき、多様な生活支援の全てを行政が担うことは困難です。行政が分担するセーフティネットを守るためにも活動の多くを住民にお願いすることが必要です。受け皿となる地域自治組織をつくり、必要な資金配分と責任ある仕事を行ってもらう。これは地域に新たな雇用や生きがいを生み出すことにもつながります。地域自治組織が担う役割は多様です。地域自治組織が機能を発揮するための課題は数多くあります。まずは住民が変わることが必要です。

「兵庫県朝来市のまちづくり ~地域自治の仕組みと自治体職員の役割」

兵庫県朝来市市長公室総合政策課副主幹 馬袋 真紀 氏

 朝来市では集落ごとに区が設けられ、それぞれ自治会運営が行われています。これまで、区長を始め役員は何年も同じ人が担当、さまざまな行事、道路や山林の管理、子供会の運営等もままならない状態となっていました。

 平成17年の合併後、朝来市に相応しい地域自治の仕組みを検討してきました。地域の情報共有、役割分担、誰もがまちづくりの主体となる地域自治組織を立ち上げ、地域自治組織が有効に機能するよう、地域支援職員の配置、自治基本条例の制定、地域自治包括交付金の交付等の制度的、財政的支援策を整え、公共を担う地域自治組織として自治の確立、持続可能な朝来市づくりを進めています。

 地域自治システムの活動事例として、買物支援活動、地域学童保育、自主運行バス、農家レストラン運営、指定管理・受託業務等多岐にわたります。あわせて、自治体職員として地域活動に積極的に関わるほか、それぞれの地域での地域課題の解決や自身のノウハウの地域還元など職員としての役割も期待されています。